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泊まる部屋はイズミと相部屋だった。
お風呂上がりに冷えたお水をゴキュゴキュ飲んでいた。これはオバチャンじゃなくてオッサンやわ。
「イズミはみんなと友達なん?」
「うん。幼なじみよ。依頼受注してくれる人がいないと、私やロビンが手伝うの。武器や防具を譲ってくれるお礼にね。」
「ふーん。私、まだわからないこと多くて。」
「見た目はキレイで近寄りがたいのに、オバチャンみたいよね?」
正解っ☆オバチャンやからな。
「どう応えたらいいん?」
クスクス笑い出すイズミに、年の差をひしひし感じる中身は45の私。
「明日も頑張らなアカンし、もう寝よか。」
「ふふっ、そうね。ギルドカードのチェックしなきゃね。」
イズミに言われて、自分のギルドカードを確認すると、メールボックスにNEW!が点滅してた。
【有羽子へ。依頼完了したら、ギルドの部屋に戻って来い。待ってるから頑張れよ。】
【シエロへ。ありがとう。泊まりだと知らずに驚いてしもた。おやすみなさい。また明日ね。】
ギルドカードというより高性能なスマホやな、これは。要は身分証明書とパスポートとクレジットカードとネットがひとつになってるやん。誰が作ったんやろ。尊敬するわホンマ。
「ユウコ大丈夫?」
ジッと手元のギルドカードを見ていたからか、声をかけてくれたイズミに笑ってみせた。
「大丈夫やで、ありがとうイズミ。」
「ねぇ、ユウコのランクは?私はEランクよ。早く使い魔召喚して、モンスターバトルしたいの。」
「イズミはEってスゴいやん。私はFやで。使い魔おるけど。」
「ええっ!?使い魔いるの?どうやって契約出来たの?」
「使い魔によるみたい。」
「ユウコの使い魔って?紹介してくれる?」
うーん。あんま見せつけたりするん好きちゃうねん。
「シャイなコやから、今は出て来いへんわ。ごめんな。」
「残念。もう寝るね。おやすみ。」
「おやすみ。」
慣れない仕事で疲れたんかな?警戒もせず眠ってしまった。
「ふふっ、甘いわよ。ギルドカード見せて貰うわね。」
イズミが黒い笑顔で、私のベッドに近付いた。
バチッ!!!!
床にうずくまるイズミに重低音が響いた。
「ユウコに仇為す者は赦さぬ。」
防御の結界を張っているのはラゴスクス。シエロは彼が主であるユウコを守護するのを察して、別行動を許したのだ。
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