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翌朝、ベッドではなく、なぜか床で倒れ唸ってるイズミを揺り起こした。
「早よ起きや。遅刻するで?」
「ううっ。」
「ちょ、待って。熱あるやん。誰か呼んで来るから、大人しく寝ときや。」
階段を降りてダイニングに行った。
「イズミ、熱あるで。様子みたってくれへん?」
「ええっ!?」
みんなが顔を見合わせた。
「あの健康優良児のイズミが?」
「雨降るかもしれん。」
「またサボりかよ。」
「ほんまやから、早よ行ったって。床で寝とってん。」
強い口調で言うと、カイル姉が漸く階段を上がって行った。
4人で工房に入ると、いかにも頑固一徹な同世代の男性がいた。あっ、間違えた。同世代ちゃうわ。40~50才くらいの職人が、昨日磨いた原料を使って、変幻自在に武器を製作していた。
「カイルは剣の荒削り、ロビンは防具用の板状を頼む。トーリは細かい原料磨き。君は初顔か。洗濯を…
職人は言いかけた言葉を飲み込み、私の左肩を凝視していた。きっとラゴスクスをロックオンしてる。
「え、あの。見えてはる?」
「バッチリとな。君の名前は?」
「ユウコです。」
「右手の中指にはパートナーの証か。何者だ。」
見た目は20才中身は45才のオバチャンやけど他に言いようがないし。
「ギルドカードを見せてくれんか?依頼者としてな。」
確かに一理ある。
「先に職人さんの名前は教えてくれへんの?」
職人さんは目をカッと見開いてから、お腹を抱えて笑い出した。
「っあははははっ!儂を知らずに依頼を受けたんか。」
ごめんやで。何せ異世界生活4日目やから。
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