stage①

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シエロがドアを閉めた瞬間、ギルドの宿泊施設の部屋に転移した。 「おかえりユウコ。」 「ただいま。色々あってん。シエロ、あの、な?」 「何だ?」 密接したシエロのカラダから微かに香るオトコの匂い。色気ダダ漏れやんっ。汗ではないと思うんやけど体臭なんかな? 話したいこと、どっかに飛んでしもうたわ。 「私、汗臭いし。お風呂行くわ。」 「風呂でさっぱりしてから夕食にするか。」 ひええっ!今、顔を見んといて? 「ククク…どうした?時々赤面するな?」 アカン。顔を覗かれると余計色んな水分放出してまう。汗だけちゃうわ。 ギャー!! 肩を抱き寄せんといて、顔を近付けんといて。 「ほら、行くぞ。」 昭和のロボット並にぎこちなく歩く私に含み笑いしてる。 「シエロのイジワル。」 「ククク…ユウコがかわいすぎ。」 そんなん言うてもアカンわ。異性の免疫ナイんやから、マジご勘弁やで。 先に飲んでいるというシエロを残して、お風呂へ直行すると、湯に浸かって疲れを癒した。 あぁ~。心臓が飛び出そうやったわ。 よし。パートナーとは伴侶の事だって言ったよな。意味を思い出さな。 伴侶とは「一緒に連れ立って行く者」だから、使い魔のラゴスクスやフレンドのみんなも含むはず。 そういえば配偶者って意味もあったやん。ってことは、シエロは私をお嫁さんと思ってんの? えっ!?よよよ嫁ぇえ!? ブクブク… ………ブクブクブク。 湯の中に沈んでしまった。 やっと展開に頭が追い付いたわ。シエロは何を考えてるんやろ?特別美人じゃないし愛嬌もないしオバチャンやし、ないないづくしやで? ドキドキするのは、シエロを異性として見てたからなんや。私ってイタイ女やわ。 今ならまだ間に合う。シエロみたいなスゴい人なら、私より相応しい相手がおるやろ? この胸の疼きも、ときめきも、 今ならまだ封印できる。 失う恐さを知った私に寄り添う相手は必要ない。絶対我慢できへん。シエロが消えてしまったら、もう堪えられへん。 決別の意志を胸に、お風呂を飛び出した。
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