168人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめん。堪えられへんなんて言うた。無理やと思った。シエロが死んだら生きられへんって思った時点で、側におっても離れてても結果は同じやんな?
シエロの顔を見て話して笑って泣いて。毎日おはようおやすみって言うて。それだけで幸せやねん。」
「ユウコ。」
優しい瞳は夜空で光る星のよう。シエロの中に吸い込まれていく気がした。
「あの時。ユウコの腰に携えていた宝玉を見つけた。実はあの宝玉は龍のパートナーに選ばれし者だけが持つという伝説の珠だった。
何も知らぬユウコが戸惑い逃げる姿を、気付いたら必死で追いかけていた。
ユウコが俺を射るような目で捉えた瞬間、惚れた。だからパートナーの契約を交わした。それだけだ。」
熱い抱擁にクラクラしてしまう。でも離れたくない。このまま側にいたい。この胸に身を委ねていたい。
「ユウコ、顔を見せろよ。」
「無理。」
ブンブン頭を横に振る。
「ほら、ユウコ…
両手で水をすくうように、耳元に手を添えて持ち上げられてしまった。
星が揺れてる。私の瞳は涙で濡れてるから、滲んでシエロの瞳が揺れてるんやわ。
「ユウコ、好き。」
ハラハラと零れる涙は、シエロが唇で受け止めてくれる。
「シエロが、好きやねん。」
いややわ。こんな時にハナ声やし。
「物怖じしない態度や話し方とのギャップが堪らん。可愛くて困る。」
「どこが?シエロの目ぇオカシイわ。」
「無自覚だから釘を刺したいだけだ。ユウコは俺のパートナー。わかったか?」
耳元に置かれた両手のあたたかさ。おでこをぶつけるように、ひっつけて囁くイケメンブルーに悩殺されてしもうた。
「はい。」
頷いた瞬間、甘く熱く唇が私の唇を塞いだ。
【続く】
最初のコメントを投稿しよう!