stage②

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「ユウコ。お疲れ。」 ひゃあ!これ、お姫様抱っこやんっ。 「シシ、シエロ。お、降ろして。」 「嫌だ。移動するぞ……転移。」 ええっ!どこに行くん? 汗だくやのに、この仕打ち。 先程までの景色と全く違う。静かな森の中に佇む一軒家の玄関に来た。 山小屋のロッジみたいな木製の家は、居心地よさげ。 「ここは?」 「ユウコと俺の家。ギルドは人が大勢いて、ユウコが落ち着かんだろ?」 「あの、もう少し具体的に、いろいろ教えて欲しいんやけどな。」 「温泉に入ってからな。」 「温泉?」 空に向かって湯けむりが登っている。天然温泉があるんやて。嬉しいなぁ。 玄関を開けると広い部屋。 壁一面の大きな暖炉が備え付けてある。暖炉で調理も出来て便利そう。 暖炉の反対側には階段がある。 階段を上がると2階の寝室に、階段を降りると地下の倉庫に繋がってるらしい。 シエロは私を抱えたまま、階段下のドアを開けた。温泉の脱衣場に出た。 んん?シエロが私のマントを脱がせた。もしかしたらやけど、、、? 「私が先に入ってええの?」 「あほぅ。一緒に入るに決まってるだろ?」 恥ずかしすぎるわ!! まだ肌も触れ合ってへんで?無理に決まってるやろ? 無言で睨むようにシエロを見た。 「ククク…そんなかわいい上目遣いしたら反則。」 「……無理やし。」 「ふんっ。昨日あのまま寝たのは誰だよ?」 「うっ。私デスがナニか?」 実はな?昨日、熱く甘い口づけに蕩けてしまって、眠っちゃってん。 中学生かって? いやいや。あんまりジンジンする大人のキスをしたシエロが悪いんや。キスなんて約20年振りやったし、しゃーないやん。 「お願い。今はまだ恥ずかしいから無理。」 「じゃ今夜から同じベッドな?」 シエロはにんまり笑って、脱衣場を後にした。
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