stage②

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「あんな笑顔されたら断られへん。ズルいわ、イケメンブルーは。」 しっとりとした乳白色の湯に入ると、肌もカラダも生き返った。 「気持ちいい~~。」 明日はあちこち筋肉痛かと思ったけど、大丈夫かもしれへん。 暫く湯を堪能してから、山小屋の部屋に戻った。 木を半分に割ったような風情あるテーブルには、シチューとパンが、ほかほかの湯気が立ち、食欲をそそる。 「冷めないうちに食べるぞ。」 「シエロォ。メチャメチャ美味し~~!」 「そうか?手裏剣の特訓中は俺が作る。」 「ありがとう。特訓後は私も作るで。」 チュッ。 唇の端っこにキスを落とすシエロ。 「なっ、あの、食べてるやんっ。」 真っ赤になった私に満足そう。 「パン屑付いてた。」 「絶対ウソやん。」 ◇◇◇ この世界では森や川、山や海にそれぞれ「主」が居るんやって。主が不在やと、その場所は廃れてしまう。 「ここは始まりの聖地の奥に存在する最古の森で“追憶の鍵”と呼ばれている。主は居るがワケ有りでな。」 使い魔のラゴスクスも、以前はバビロニア河の主だったが、今は別の者に座を譲り、私と共にいる。 「精霊が主でな。全ての植物の根源だと言われる気難し屋だ。風龍や土龍も頭が上がらんらしい。」 「へえぇ。龍が敵わへんってスゴいことやん。」 「大気と大地を育てるのは植物だからな。ラゴスクス同様人族嫌いでな。」 何となく想像できるけどな。森羅万象の理を外すのも、食物連鎖を荒らすのも人族やから。 「ユウコ。明日に備えて寝ようか?」 「ええっ!まだ早いんとちゃう?」 「昨夜寝オチしたのは誰だよ?」 ひいぃっ!シエロの瞳がギラギラしてるやん。 「ほら、寝室に案内するから、おいで。」 有無を言わさぬド迫力に、笑い出してしまってん。
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