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ちょ、笑い事ちゃうで?こっちは真剣に訊いてるんやけど?
「っははははは!ああ~笑わせて貰ったわ。今まで使ったことないの?」
「うん。パートナーがバリバリやし。」
「有羽子。今日はここまで。話したいことがあるから、パートナーを喚んでくれる?」
「えっ?」
「んもう。指輪に願えば来るわよ。ったく。」
この展開って、シエロが怒られちゃう?ごめん。
【シエロ。】
「遅い。」
ええええええぇぇぇぇぇっつ!?
私を背中から抱き寄せながら、シエロは不機嫌さん。
「相変わらず無愛想だな、天龍。」
ギャー!!!!
颯真の背後から登場したのは、見目麗しい美女やった。言いにくいんやけど、背後霊に見えたやん。サブイボ立ったわホンマ。
「初めまして。颯真のパートナー、風龍の一颯(イチハ)よ。」
艶やかな微笑みはオンナの私でさえヤバいって。
颯真の家で夕食中。市場で食料を調達してから、ダイニングで広げてる。けどな?
「颯真が男性とは思わんかったわ。」
唐揚げを美味しそうに頬張りながら、
「普段は女性で通してる。密偵故の習性だ。」
「ふうん。一颯が女性やから不自然にならへんのやな。」
「一体化すると疲れるんだが、有羽子が真剣だったから、僕だと加減出来なくてさ。」
うーん。慣れない。颯真が“僕”。
唐揚げの他に揚げ物や串焼きがみるみる消えていく。掃除機みたいな食欲やな。
「もしかしたらやけど、颯真って同じ?」
「ああ。僕もアッチの人間だ。だけど、タイムラグがあると思う。」
タイムラグ。要するに私たちは、ほぼ同年月日に日本から来たけど、来た時間が違うってこと。
颯真は約2年前に来て、私はまだ10日未満に来たばかり。可笑しいやんな?
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