stage②

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「有羽子は、どうやってこの世界に来れたんだ?」 「私は道路にポッカリ大きな穴が現れてん。」 「へえぇ。僕は竜巻に飛ばされたんだ。関東には突発的な竜巻が頻繁に起きてて。」 竜巻の規模は大小様々。威力も発生時間帯も。突風の中で生き延びた颯真は一颯と出逢ったのだそう。 「一颯がヤキモチ妬くからオンナの姿にしたんだ。」 「あはははは。ラブラブやな。表向きの言い訳もバッチリやん。」 「だろ?初日に有羽子も、シエロとイチャついてたじゃん。」 ボッ!!真っ赤になる私。 「あれはな、うん。翌日やったし。」 「エッチした?」 はぁああああっ!? 「っ!ちち、ちゃうわぁっ!このボケェ!」 思いっきり頭を叩いたった。 「一颯、颯真の教育係ちゃうん?大丈夫か?頭ん中ピンク一色やで。」 「そんな単純筋肉バカが好きなの。仕方ないでしょ?」 颯真の頬を妖しく撫でながら微笑む一颯は、思わず息を飲む艶やかさを魅せる。 一颯の指が、颯真の頬から顎へ、顎から首筋へ伝っていく淫らな動きにドキドキしてしまう。 「有羽子は僕より実年齢は下だろ?」 「えっ、颯真は幾つなん?」 「21。大学生だよ。就活しながら社会人って厳しいって思ってた。彼女はいないし、アッチには未練ないんだ。」 どーゆー思考しとるんや。未来の日本を担うのが、こんなチャラいので心配になるわ。 あれ?21て娘と変わらへんやん。 「はぁっ~。帰ったらどうするん?」 「えっ、帰れると思ってる?僕たち、アッチで死亡したから転生したんだぜ。ただ異世界に来たなら、こんなメタモルフォーゼしないな絶対。」 「そうやろか?私も未練はない。やるだけやりきって来たから。」 「そっか。有羽子は頑張りすぎ。」 この話はここまで。 「魔法ってどうしたらええの?」 シエロが解説してくれた。 「魔法とは発動させるために呪文を唱える者もいるが、本来は必要ない。魔法とは想像力で創造的に生み出すもの。ユウコの内に秘める属性が反応するんだ。」 「何となくしか理解出来へん。」 「ユウコが身の危険を察知しないと、魔法も使わないから模擬試合をするのよ。」 と、一颯が微笑んだ。
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