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土だった道が、岩が阻む山道のように険しくなってん。
岩場で手裏剣は便利やった。剣やレイピアの人たちは不利かもしれへん。鎖鎌や魔紐、弓矢は足元さえ固定出来れば、手裏剣同様の動きが出来そうやな。
キラッ。
頭上の岩の隙間から、一瞬光が反射した。タイミング悪ければわからへんわ。
シエロが周囲を警戒してくれた間に、手裏剣で岩に当てて、振動を利用して落下させた。
「これは?シエロ知ってる?」
銀色の物体は化粧品のコンパクトかな?
蓋には鏡は付いてない。ファンデーションの部分には怪しげな赤色のペースト状のクリームが入ってた。
「これは薬だ。火属性の怪我に効果がある。」
「へえぇ。火傷とか?水ぶくれって痛いしな。」
回復薬は元気になるだけで、点滴や栄養ドリンクに近い。実際に戦闘で受けた負傷の薬は、あまり出回っていない。
ポケットに納めて先を急いだ。
◇◇◇
8階までクリアした。いよいよ魔の9階だ。レアボスは9階に出現率が高いらしい。
「ハァイ!そこのあなた。」
ビキニ姿のバニーガールが手を振ってた。
素通りした。
「キレイなお嬢さん。宝石は如何かな?」
モデルみたいなイケメンズが3人で手招きしてた。
また素通りした。
「あんな罠に引っかかるアホおらんやん。」
「ユウコ。追いかけて来るぞ。」
「えっ!?」
振り返ると、ものすごい形相をしたモンスターたちが近付いてくる。ギラギラした赤い目は8。
「逃げる?」
「無理だろう。先手必勝なんだろう?」
「げっ。めんどくさい。」
「おいおい。」
くるり。
カラダを半回転させた勢いで、手裏剣を放った。
【肆の型】
左右から攻撃する型で、光と水属性を付加させた。モンスターたちの赤い目は火属性の証やから。
【壱の型】
相手に直接攻撃する基本の型。魔法を意識して、水の矢と光の刃を手裏剣に施していた。
モンスターは倒すと消滅する。最初の一撃で2体倒せたから、何とか残った2体を殲滅させた。
でもな?これ以上数が多くなると、1人では厳しいわ。
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