stage②

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ころころ鈴を転がすような、かわいらしい笑い声が聞こえてきた。 「ふふっ。わくわくしてきちゃった。あなたのお名前は?」 「ユウコ。なぁ、追憶の鍵には戻らへんの?」 「ええ。主の座は譲ってあるし。私を連れてって。」 「出たっ。名前を付けてとか言うんちゃう?」 「そうよ。わかってるじゃない。ふふっ。」 やっぱ、そうなるんや。 最古の森主を彷彿させる彼女らしい名前を、小さな王冠をそっと頭に被せながら囁いた。 「あなたの名前は、メトシェラ。どう?」 「ふふっ。私はメトシェラ。気に入ったわ。」 ちなみに、ラゴスクスとは絶滅した最古の恐竜のことで、メトシェラとは太古から生育する大樹のことだから、イメージにぴったりやろ? ギルドカードを見てみよ。 NEW!【使い魔:あり】 詳細を押すと説明文が出た。 使い魔:聖霊。属性:光、土、風。 最古の魔森、通称“追憶の鍵”の初代の主。見た目は小さく変幻させているが真実は不明。植物に纏わる起源を司る。世界中に根を張り巡らせており、彼女が死すると世界は滅亡すると噂されている。 攻撃防御共に蔦や蔓、種や花を用いる。 「メトシェラ。まるで図鑑みたいな説明やん。私の使い魔でええの?」 「うん。ユウコと天龍は、私を畏れないでしょ?居心地良さそうだし、ラゴスクスと一緒だもん。」 何だか右肩が熱い。照れたラゴスクスは甲羅に頭を隠してしまった。 昨日知ったんやけどな?ラゴスクスの首にも、ちっちゃい虹色の珠が填まってる首輪があってんで。 「ユウコ、帰るぞ。」 「うん。シエロが守ってくれたから、クエストに専念できてん。ありがとう。」 指を絡ませる“恋人繋ぎ”に赤面しながら、ドアを開けた。
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