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スタート地点のゲートに帰ってきたらしい。見送ってくれた受付嬢が出迎えた。
「おっ、お疲れさまでした。」
若干顔がひきつってる。何かあったんやろか?
「このクエストは2泊3日コースです。日帰りで戻るだなんて、フウマさん以来です。」
あちゃー。やっちゃったかも。
ギルドの受付に戻るとアリエルは、
「ユウコなら日帰りかもって予想してたわ。」
と、ニヤニヤしながら、クエスト完了の手続きをしてくれた。
遠くから颯真が一体化の状態で手を振ってる。
「ユウコおかえり。って主様ぁ!」
ズサァアアアアッ!!
見事なスライディングタックルしながら平伏せてるやん。
「使い魔の正体バレバレやで?」
メトシェラを見ると、露骨にムッとしてたわ。
「ふん。颯真も一颯もいけず。頭なんか下げないでよ。」
「しかし、主様の気まぐれには参ります。宜しいのですか?」
「一颯。」
ギロリ。
うっ、ド迫力やん。見た目かわいらしい妖精やのに実際は、、って私と同じパターンやん。
「失礼致します。」
一颯は風の如く消え去り、颯真は平伏せたまま。
「颯真、またな。」
放置したほうが賢明やと判断してん。今は聞く耳ないしな。
「ぬ、ぬ主様ぁああ~~!」
しまった。
カケルは土龍やったわ。颯真よりはスマートに膝をついて、両手を差し出す姿やけど、小刻みに震えてる。
「あちゃー。気持ちはわかるけどな。」
「俺より恐れられてるのはメトシェラだけだからな。」
シエロが呟いた。
「もうっ、翔琉(カケル)まで。帰ろうユウコ。」
「メトシェラ、ほら。」
彼女を指に乗せ、ラゴスクスの背中に座らせた。右肩が熱いけど、不機嫌よりはマシやわ。
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