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そわそわ落ち着かない私にシエロが諭した。
「ユウコ。意識して2人を探さなくても、時が訪れたら必然的に出会える。俺がユウコと出会えたように。」
「せやな。待つわ。焦らず慌てず。イチバン難しいんやけど、私にはシエロがおるし。」
ギュッと繋いだ手に力を込めた。
「もう日が暮れる。買い物したら帰ろう。」
「うん!帰るってええな。」
ちゃっかり市場デートを楽しむ私は、少しだけ浮かれてた。この後の展開なんか、予想してなかってんよ。
今夜は久しぶりにウチごはん。シエロと仲良く暖炉のキッチンスペースで、私はスペアリブとミネストローネを作ってるとこ。
手慣れた様子で、パンを焼いているのはシエロ。
家事は以前とあまり変化なかってん。電気やガスがないから、魔力を使うだけでな?道具や用途は、ほぼ同じ。
火力に制限なかったり、洗濯したらすぐに乾燥出来たり、メチャメチャ便利やしスピードが違うし、簡単ラクラク。
できたてを2人で食べ始める。
向かい合わせではなく、1つのベンチソファーで横に並んで座るスタイルやねん。紳士な外国人にエスコートされてる気分やで。
こんな至れり尽くせりの恋人って贅沢やわぁ。
「ごちそうさまでした。」
「じゃ、俺はデザートを。」
デザート?何も用意してへんよ?
素早く私を抱き上げて、温泉へと向かうシエロ。んん?デザートって言うたやん?
「あの、シエロ?」
「クエスト終わるまで耐え抜いた俺を褒めろよ。」
ガラッ。
「後で一緒に入ろうな?」
脱衣場のドアを閉めて、階段を上がる足音が遠くで聞こえた。
デザートって、、、。
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