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砦に戻ってからが大変だった。
軍師が大喜びし、仲間の方々にも安堵の表情を浮かんでいた。
勝利が見えた、とまで言われ悪い気はしない。
過大評価だと思い、ちょっと不安になる。
まあ気持ちは分かる。
俺という未知数の切り札が入ったのだ。
そうなって欲しいと考えるのは良くわかる。
でも現実は甘くないだろう。
すぐにでも対策を打たれるだろうし、それに俺を生命線にしているということは、それが切れたら結果は言うまでもないだろう。
それだけリスクもある事は向こうも百も承知だろうから、必死になって俺を殺しに来るだろう。
だが、軍師だって馬鹿じゃない。
敢えてそういうことを言うことによって、全体の士気の底上げをしたのだ。
それに藁にでも縋りたい状況なのは、俺も一緒だ。
結局の所、先ほどの前哨戦で削れたのは精々千程度だろう。
こちらが生きて帰って来たのが八百弱で、その殆どが怪我人ではあるが、大勝には変わりないだろう。
それで相手が攻撃の手を緩めるキッカケにはならない。
願わくば、あちらが俺の存在をビビって逃げ腰になってくれる事だな。
多分無理だろうけど、考えずにはいられなかった。。
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