第三話 夜襲

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その日の夜。 軍師の指示により夜襲をしかけることになった。 単騎を装い、出来る限り混乱させる事が俺の任務。 俺に意識を集中させた後に、敵兵に扮した味方が同士討ちを誘発させるように暴れるのが今回の計画だ。 軍師曰く、敵兵は夜襲を十分に警戒しているらしい。 だからこそ予想外の展開に打撃を与えられる可能性があるとのこと。 充分な休息を取れぬ状態での今回の作戦。 上手くいくかは兎も角、俺を囮にする作戦なので、不安で仕方ない。 溜め息が零れ、やる気が失せる。 だが下手をしたら死ぬ。 気を引き締め、闘気の量を増やした。 「……っ!て、敵か!?」 案の定、あっさりと巡回兵の敵兵に見つかる。 一応、見つかりにくいルートの筈だが、やはり上手くはいかない。 松明に照らされる敵兵の表情には、怯えと疑惑の目があった。 「……一人?」 小さく呟いたつもりだろうが、闘気によって強化された聴覚は普通に聞き取る事ができた。 そのタイミングを狙って、低い姿勢で一気に横に移動する。 どっかの漫画で見たが人間は縦と横の動きは目で終える事が出来るが、その両方が合わさった斜めの移動には弱い。 視線誘導(ミスディレクション)は使えないが、音を出来る限り殺す事と超人的なスピードがあれば紛い物だが出来ない事は無い。
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