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前世が駄目だったのならば、この世界で頑張るのだろうが、満足のいかない結果のまま死んだ俺は心残りが多すぎた。
その理由はちゃんとある。
前世は一応ボクサーをやっていてジュニアではあるが、世界でも充分通用するレベルだったこともあり、将来はプロボクサーになる事は必然と言えた。
だが、運が悪いことに暴走したトラックを避けようとして、自宅の城主席かみざのせきにいた俺は呆気無く死亡した。
そして気が付いたらファンタジーの世界にいたのだ。
そういう定めなのだろうか。
いや最後の記憶を俺は知っている。
死ぬ直前に死神のような奴が俺の事を笑ったのを覚えている。
確信犯だろ、アレ。
絶対にぶっ殺すからなっ!
骨の首でも洗ってろっ!
まっ、そう聞けばいろいろと思うこともあるだろうが、農家の生まれで一人息子という事もあって自由をさせて貰えそうにない。
こんな世界で再び生を授かったので、出来れば自分の強さを磨き上げたかったし、この世界を見て回りたかったが、恐らく叶いそうに無いので、弟が生まれる事を願ったのだが、どうも子宝に恵まれなかったようだ。
だからといって、夢を諦めるという選択肢は無かった。
畑を耕して、嫁さんと子供と過ごすという生活よりも、夢を追って心半ばで死んだ方が、まだ満足出来ると思ったのだ。
死神ブン殴れない未来に興味は無いっ!
そんな俺に転機が訪れる。
村の兵士の方々が直々に俺を兵士にならないか、と誘ってきたのだ。
十歳の子供とは思えない力量に、思わず勧誘してしまったらしい。
だって一応ジュニアの世界戦まで行ったからね、階級しょぼいからあんま自慢になんねぇし、相手が打って来いと言わんばかりの独特な構えに、某有名爆死キャラの足元がお留守な技に反応してしまい、つい足元に蹴りを入れて反則負けという残念極まりない結果に終わったことを除いて考えてみれば、同年代の子供程度なら造作も無い。
異世界だし、拳使ってよかったので全力で顔面殴りましたよ。
ええ、最高でしたっ!
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