5人が本棚に入れています
本棚に追加
ほんの少し、人とは異なる姿。
兄弟とて、その親とて望んだ訳ではない姿。
父親は我が子等の産まれた姿を見て、ひっそりと姿を消した。
十の頃まで育ててくれた母親は心労が祟ったか、ある日突然倒れてそのまま帰らぬ人となった。
人だと知って、普通に接しようとする者も居るにはいた。
だが愛想笑いを浮かべる裏には、必ず汚い思惑が潜む。
(こんな異形と付き合う自分は凄いだろう)
(化け物とすら付き合える俺は、度胸が有り器の大きな人なのだ)
(見世物に売れば金になる。上手く言いくるめてやる)
故に、時が無惨に仮初めの面の皮を引き剥がす。
長く付き合えば付き合う程に、下げずみを、哀れだとせせら笑う心が見える。
心無い人々に、意図せずとも苛め抜かれた彼等は、最早誰かを思い慕う事はない。
その心に在るのは空虚な闇。
空っぽで、如何なる愉悦を得ても満たされない。
自身等の姿故に、愛した者を失ったから。
姿など些細な違いよと告げた信じた者に裏切られ続けたから。
力無き人は、彼等の目にとまらぬ事を神仏に祈るしか無くなった。
最初のコメントを投稿しよう!