21人が本棚に入れています
本棚に追加
「若王子君……」
「あっ、俺の名前覚えててくれたの。忘れてると思ってた」
顔が見れない。8倍速で除夜の鐘をついたみたいに、いつまでたっても鼓動が止まらない。
「覚えてるに決まってる!!」
「……嬉しいよ」照れてる。
「いや、これは言葉のあやで……若王子君はどうしてここに?」
「俺、電車通学なんだけど定期忘れちゃって。切符買うの、なんか嫌で。損した気がするんだ」
あまりにも赤面して、前後不覚になった。
若王子君との夢のような時間が、夢になってしまった。
耳に言葉が入ってこないで、若王子君が話している内容をうんうん言うだけ。
でも、性格の話しはした気がする。正直に話す事が大切だと、若王子君に言ったような。
「正直って、本音って事?ほとぎさん」
「違うんです。単純なだけだから……でも、私シンプルに一個守っていけたらって思うんです。それくらいしかできなくて、私」
「……ほっときたくないな、本当にカッコいい」
みたいな話しをしたような覚えが。
最初のコメントを投稿しよう!