一章 ほとぎ ひなの日常

7/13
前へ
/91ページ
次へ
……うん。 何も起こらない。 主に若王子君の事で、眠れなくて寝不足だった。 腫れぼったい目をこすって、伸びをする。 そういえば、いつから若王子君の事……気になったんだろう? 「ふぁ~~」 「ひな、ご飯できたわよ」 お母さんだ。 「はーい」 居間に降りると、2人分の朝食が出来上がっていた。 えびピラフに、シーザーサラダ、トマトの輪切りのスライス、ゆで卵。 「お母さん、作り過ぎだよ。2人分だよ、2人分。今お父さんいないんだから、残しちゃうでしょ」 「ひなは食べ盛りなんだから、いけるでしょ。身長だって伸びないじゃない」 ピラフに立ち向かう前に、シーザーサラダを手を付ける。ウーロン茶もついで、準備は万端。 「去年に比べて、3センチくらい伸びたもん」 「そうだったっけ……ホントあっという間ね、ひながもうこんなに大きくなって……痛っ」 「大丈夫、お母さん」 「……うん、いつもの奴だから」 頭をおさえ、苦しそうな表情をしている。 お父さんが出張中で、日中ファーストフードのハンバーガー屋で、立ち仕事をしているお母さん。 仕事、大変なのに朝ご飯をちゃんと作ってくれる。 ……食べよう。 自分に出来るのは、元気で料理を残さず食べる事。 全部食べ終えた私は学校へ向かう。 杉並木を通って、いつもと同じ学校への上り坂。 でも、今日は違う。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加