21人が本棚に入れています
本棚に追加
1
「はぁ」
男子達。
机に座って、昨日のテレビ番組の話ししてる。
ファッション誌を回し読みして、感想を言い合う女の子達。
仲、良さそう。
その中で、1人席について、携帯でパズルゲームやってるしかなくて。
はぁ。
私は昔から、引っ込み思案で、友達も作れなくて。
家に帰っても、お母さん1人だし。お父さんは2年前から、海外で単身赴任だ。
中学の友達も、連絡が疎遠になってたりする。
多分、新しい学校で頑張ってるだけって、思いたいけど。
まだ高校1年の5月。挽回可。
マンモス校だから、部活だって同好会だってたくさんある。
……部活紹介の日に風邪がぶり返して、休んじゃってタイミング逃しちゃったけど。
息吸って。
おはようって、浅田さん達に挨拶しないと。
……でも、声が出ない。
突っ立ってると、後ろの人がつかえてしまうかもしれないから、そそくさと自分の席に向かう。
ああ、今日も挨拶できなかった。
仕方なく、鞄から教科書を取り出して、机にしまい携帯でゲームだ。
「おはよう、浅田さん」
あ、若王子君だ。
浅田さん達が喋っている、教壇反対側に若王子君の姿が見える。
若王子君の声、キレイでいい。
声に反応して、漫画の話しをしてた秋山君達も若王子君におーっと声掛けをする。
「若、おはよ」浅田さん、笑顔で挨拶してる、いいなぁ。
「おっ、キヨ。今週のハンタ見た?やべーだろ、あの展開」
「ごめん、まだ見てない」
「マジか。ちょっとこっち来て、今週号ここにあるから…今週俺当番だし」
秋山君達は、窓際で机を囲む。
私の席の3つ後ろに彼らは話してるけど、漫画以外の話しはコソコソ喋っててわからない。
男の子に話しかける勇気はないけど、若王子君の好きな話題は知っていたい。
秋山君は嬉しそうに、若王子君へ手招き。
そんな時。
一瞬、彼が私を見た!?
最初のコメントを投稿しよう!