一章 ほとぎ ひなの日常

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1 「はぁ」 男子達。 机に座って、昨日のテレビ番組の話ししてる。 ファッション誌を回し読みして、感想を言い合う女の子達。 仲、良さそう。 その中で、1人席について、携帯でパズルゲームやってるしかなくて。 はぁ。 私は昔から、引っ込み思案で、友達も作れなくて。 家に帰っても、お母さん1人だし。お父さんは2年前から、海外で単身赴任だ。 中学の友達も、連絡が疎遠になってたりする。 多分、新しい学校で頑張ってるだけって、思いたいけど。 まだ高校1年の5月。挽回可。 マンモス校だから、部活だって同好会だってたくさんある。 ……部活紹介の日に風邪がぶり返して、休んじゃってタイミング逃しちゃったけど。 息吸って。 おはようって、浅田さん達に挨拶しないと。 ……でも、声が出ない。 突っ立ってると、後ろの人がつかえてしまうかもしれないから、そそくさと自分の席に向かう。 ああ、今日も挨拶できなかった。 仕方なく、鞄から教科書を取り出して、机にしまい携帯でゲームだ。 「おはよう、浅田さん」 あ、若王子君だ。 浅田さん達が喋っている、教壇反対側に若王子君の姿が見える。 若王子君の声、キレイでいい。 声に反応して、漫画の話しをしてた秋山君達も若王子君におーっと声掛けをする。 「若、おはよ」浅田さん、笑顔で挨拶してる、いいなぁ。 「おっ、キヨ。今週のハンタ見た?やべーだろ、あの展開」 「ごめん、まだ見てない」 「マジか。ちょっとこっち来て、今週号ここにあるから…今週俺当番だし」 秋山君達は、窓際で机を囲む。 私の席の3つ後ろに彼らは話してるけど、漫画以外の話しはコソコソ喋っててわからない。 男の子に話しかける勇気はないけど、若王子君の好きな話題は知っていたい。 秋山君は嬉しそうに、若王子君へ手招き。 そんな時。 一瞬、彼が私を見た!?
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