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ディナーに夜景は必要か
端的に言うと夜景は嫌いである。
キレイだと人並みに思う。
ただ、それだけである。
2秒目視すれば十分満足。
それを見てウットリしている女を見ると何を考えてるんだろうと本気で思ってしまう。
あの夜景を織り成す物は、残業中のサラリーマンであり、客引きの為の派手なネオンであり、航空法により定められた赤色灯である。
夜景が大好きな人と食事に行く事があったので何故好きか聞いてみたら、キラキラしててキレイだし、自分が高い所に居るというのが良いらしい。
ほぉ。。
私の曲がりくねった性格は、高い所が好きならば、きっとこの人は自分が上にいる事で己を保っている人種なんだろうなと判断を下す事にした。
その判断が見事に的中してしまった時の何とも言えない虚しさ。
いい意味で裏切ってもらいたかったと思っても変えられない事実。
食事をする際に重要なのは相手〉料理〉空間である。
空間の所に夜景が入るのであろうが、相手が面白ければ周りなんて見てないし、なおかつ料理が美味しければ目をつぶって味覚に集中したい。
そんな偏屈な私が行く店といえば、仕事帰り人々が集う、気の利いた店主のいるようなこじんまりとした店が多い。
安くて美味くて、みんな店主に仕事のうっぷんを話しに来る。
離婚がじわじわ進む中、随分と私もお世話になった。
そこにはキラキラした夜景は無いけれど、また明日頑張ろうと思える活力と笑顔がある。
それにちょっとした美味いツマミがあれば夜景を見てる暇なんてないよ。
夜景を提供してくれる意識高い系男子も、日頃はこんな感じの店でバカ騒ぎをしてるかもしれないしね。
と、不謹慎にもすでに未来の旦那を探そうとしてる私は店主に呆れられながら、お気に入りの酒が進むのであった。
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