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「さよっち!!」
「えっ」
後ろを向いた時には、ジャンピングかなちゃんが目の前に迫っていた。
いきおいに押され2、3歩下がって気付いた。後ろ田んぼ!
「さよっち!?」
落ちる寸前で、かなちゃんの両手が私の腰を捕まえた。
体が反り返り、めきめきときしむ。
「お、落ちる……」
「ぜ、絶対落とさない……! ね、ねえ、さよっち」
「なっ、なに」
「引っ越してもさ、これからもずっと、親友でいようね……!」
え?
あごを引くと、目の前には、顔を真っ赤にして、両手で力いっぱい私を支えてくれる親友の姿があった。
「……っぷふ!」
「なぜ笑うし……!」
「ううん、なんでもない」
ずっとお別れの言葉を探してた自分がバカらしくなった。そんなの必要ないよね。
ズルッ
「「あっ」」
お互い体がふわっと軽くなる。
雨上がりの青い空、白い雲、飛び跳ねる泥たち。
そして、私たちの大きく笑い合う声。
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