憧れの世界へ――

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訝しげな視線を向けるとクスクスと笑われた。 『私はただ慣れ親しんだ所が良いだろうって思っただけだよ』 「……余計なお世話」 神の言うことが事実ならここは私も彼氏もよく知ってるゲームの中。 私が始めて"今"の彼氏と出会ったゲーム。 一番プレイ時間が長くて一番やりこんで一番好きな世界。 甘い思い出も苦い記憶も全部つまってるって言ってもいい… 『こうなる運命だった、って言ったら君は怒るかな?』 「……運命」 死ぬのも…… 思い出の多い世界に送られるのも…… たった2文字の漢字で片付けられる。 死んで悲しいはずなのに、そう思うとなんだか笑えてきた。 「ふふ……いや、そうでもないよ」 突然笑い出す私を不思議そうに眺めてくる自称神。 『そ……っか、うん、だから君を選んだんだ』 何故か自分で納得していた。 「私の人生が終わったわけじゃないんだよね?」 理不尽と嘆くのもバカらしいし。 『うん、そうだよ』 こうして自分の意思を持っていられるんだから。 「だから、色々と教えて」 まだ生きていこうと思った。
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