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「でも、嘘じゃないよ。レーナが後衛に居るなら俺は守ってやれるからね」
髪を撫でる反対の手で肩を引いて優しい腕に包まれる。
甘くて優しい幸はちょっと困る。
どう返して良いか分からなくなるから……
「うん……」
恥ずかしくなって背中に手を回して幸の胸に顔を押し当てる。
ちょっと息苦しいけど、真っ赤な顔はやっぱり恥ずかしいもん。
「私、下手だけど足引っ張らないように頑張る」
「そんな事ないよ」と軽く笑われた。
「レーナは絶妙にフォローしてくれるから頼りにしてる」
また無言でコクリと頷いた。
幸で顔を隠してたら背中をトントン叩かれ
「そろそろ行こうか」
顔を離したら手を引いてくれた。
まだ顔は赤いかもしれないけど久しぶりに手を繋いでくれるのはやっぱり嬉しい。
「一緒に頑張ろう?」
「うん!」
繋いだ手の温もりに自然と顔が綻んだ。
……本当は死んじゃった事は悲しい事だとは思う。
もう親や友達にも忘れられて会えない。
今まで傍に居て当たり前だったから感謝とか全然伝えられてない。
多分途中でふざけた幸の一番言いたかった部分だと思う。
……でも、これからは幸が横に居てくれる。
老後のモン○ンではないけど……
でもシステム上の季節しかない時が止まったこの世界で一緒にレベリングして、昼も夜も眠る時も起きる時も傍に居られて
戦争が終わってからもずっと一緒に居られるんだ。
そう思うと少しずつ心がポカポカしてきた。
昨日まで連絡がないって拗ねてた。
それくらい温もりも声も届かない場所に居た。
数日のデートの後、幸が帰る度に残った虚しさが辛かった時もあった。
車でも5時間かかる距離。
やっぱり遠いし不安だった。
でもこれからは、この手の届く範囲に居てくれる。
死なない世界でずーっと一緒。
そう考えると、今すごく幸せだ。
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