憧れの世界へ――

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暗くて街頭が少ない山道を必死に登る私の愛車。 『乗れれば良い!』と言って選んだのは中古のシンプルな軽自動車。 平らな道なら全然平気なんだけど…… 坂道、特に登りの時は『車さん!頑張って!』とか言いながら運転しております。 登りの苦手な我が愛車。 さらに雪道ってのもあって陸で競争する亀のようにゆっくりゆっくりと進める。 後方から車が来てなくて本当に良かったと思います…… もうすぐ、あと数キロで山道の頂上に差し掛かる所、視界に光を感じてバックミラーを確認する。 なかなかのペースで迫ってくる後続車。 左にウインカーを出して道を譲るとザザザッと新しい轍を作って追い越していく。 地元民パネェ…… 下りになると頭文字○みたく四輪ドリフトとかしそうな勢いで前方の右カーブを走っていった。 そして入れ違いのように対向車線にライトが見えた。 乱暴な運転に動揺したのか…… はたまた夜更けの仕事での居眠りだったのか……… オーディオから流れるお気に入りの曲を掻き消すような甲高い音と共に現れたソレは―― 荷台に乗せた雪を思い切り降り下ろしながら―― ――転がるように私と愛車を叩き潰した。
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