第1章

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まあ、そんな訳で僕は今日も腹痛と戦う。痛みの波がくると、意識がフェードアウトしてしまうのだ。 悪い予感のような寒気がしたのち、冷たい手でお腹を触られたような違和感。そして、身体の力がふっと抜ける。 押さえる手を失った単語帳がパラパラと音をたてて閉じる。ページの先が軽く指先に触れた。 はあ…。 僕はため息をつく。 保健室の先生がページの音に気づいてそっとカーテンをめくっては、寒イボがたった僕の腕を優しく擦ってくれる。 その手の温かさに、痛みが幾分かマシになる。 保健室の扉が開いた。
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