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「そうですね……あ、そういえばここから少し外れたところにどんぶり屋さんができたんですよ。そこはどうでしょう。きっとあなたにもご満足いただけるかと」
「おいしい?そこのご飯」
少年はいつものにこやかな表情でうなずいて、
「おいしいですよ。僕の家族のお気に入りで、週末は時折行くんです」
「澄真(とうま)のお気に入りなら、楽しみ」
「僕の……では、ないん、ですけどね」
少年――澄真の反応に首をかしげるルキア。
「澄真は気に入ってないの?おいしいのに?」
「確かにおいしいんですけど、あそこの一品は僕には多すぎるんですよ。毎回残してしまって、お店の方も不快に思われているようで……。なので正直、お気に入りかと言われると……」
細身の彼は、ルキアと足して二で割ればちょうどいいというほど少食だった。
あまりにも両極端な二人の食欲を語るのに最も適切な例が小学生の頃の給食の時間だった。
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