第1章 キミはオレの。

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仕事は建築業、兼、イベントプロデュースのデザイナー 個人の家から、オフィスビルの設計、デザイン デパートから芸能界のイベント そして、国の式典まで幅広く手広く扱う会社は そこそこ名の知れたところ。 居心地は上々。 イベントの種類は様々で 元々あるパターンから、デザインしていくもの 大がかりなのは内装から組み立て直して、造り変えていくもの大小エトセトラ。 「新城!京都から電話、2番な」 神田課長の野太い声が部屋を跨いでオレにかかった。 「はい」 オレの声は課長には届かないくらいの、緩いもので 手だけを上げて、分かった、とサインする。 「お電話代わりました、新城です わざわざ、有り難うございます……えぇ、……はい……」 先月、終了したばかりの 改築した老舗料亭の主人がご丁寧にも連絡をくれた。 今昔を融合させ、ほどよく落ち着いた空間を造ったつもりだったが、相手にもそう思って貰えたようで それはそれはデザイナー冥利につきる。 「遠野、小川邸の図面、出来上がってる?」 「はい」 「じゃあ、午後から行ってくる」 「宜しくお願いします」
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