第2章 草食なオレ

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どれくらいの時間 額だけを付けたままのスレスレで経過したか。 10分? 20分? 遠野さんの吐く息は朱色に染まり 何度もオレの唇に触れようとする癖に そうは、しない。 まだ、赦していないから 「遠野さん、涎」 ダラシナイ彼女の唇からツルリと零れたシルバーを舐めると 足元から彼女が一気に奮えあがった。 ‘ひゃ’ 小さな朱色を聞く。 ……あぁ、かわいい。 「遠野さん、今日も無意味なの履いてんだな」 もうずっと晒させているのに 放っておかれたまんまの憐れな下肢。 骨盤に引っ掛かる黒い紐に指をかけ 腹部に沿ってちょうど臍のあたりで止まり そこから下へ伸びる一回り細い紐に乗り換える。 「……しんじょ」 「こうしてほしかった?」 彼女の呟きを聞きもせず それを指に巻き付けて、引き上げた。 こんなので、仕事しながら オレがくるの、待ってた訳? 上等。 ギり、と強く引き上げ スル、と途端に緩めて 恍惚の色を見せ始めた遠野さんに やっと、口づけた。 「喉、カラカラ」 それだけを言い残して 迷う事なく紐の前まで移動する。 期待に膨らむ遠野さんの揺れる瞳を見上げて 「遠野さん、イタダキマス」 あからさまなサウンドを立てた。
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