第2章 草食なオレ

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「なってません、って……なってんじゃん」 シーツに渦を巻いて流れている黒髪をキュ、と引っ張ると 少しだけ反り返った喉。 そして、オレの大好きな遠野さんの頸動脈が露になった。 彼女は壁に映る幻想的なムラサキを見つめながら 何を思っているんだろうか。 「遠野さん」 「っ、」 ゴクン、と固唾を飲み込んで 完全に閉じられない口をまた開き、返事をする。 「は、い」 「その名前出して、どーしたいんだ?」 薄暗い部屋では 彼女の脈動が見えないのが残念。 仕方がないから 舌で、ソコを押して生きている証を確かめた。 「……ぁ」 また、ゴクンと動いた喉。 「なぁ、どーしたいの?」 「お、小川さんとは、何も…… ……なんでも、ありま、せんんっ」 ジュル、と吸い付いて 直ぐに離し 「ふーん」 また、ジュル、と吸い付いて、また、離す。 カクカクと身体を震わせる彼女は 可愛すぎて、カワイスギて 思わず漏れた本音。 「……遠野さん、可愛すぎて、咬みたい」 だけどそんな、器用な事は出来ないから 仕方がない。 「頼むからこれ以上妬かせないで……」 そう、囁いて 舌を這わせた後 今日、一番大きな薔薇を彼女に咲かせた。
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