第2章 草食なオレ

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会話が無くても成立するのは 愛が溢れているから。 額から落とした唇は 長い、長い時間をかけてやっと唇まで移動する。 だけど まだ、簡単には触れない。 瞳同士は、事ある毎に結び 頬にまた、寄せた唇。 呼吸のリズムは徐々に扇情されてくるのに まだ、キスはお預けで 焦らして 逃がして はぐらかして そうして やっと触れた時には もう、お互いにびしょ濡れだった。 そこから始まるのは 甚だしいくらいのスローな同衾(ドウキン)。 さっきまだ一週間が始まったばかりだと言ったところじゃないか。 また これからどれだけの時間をかけて 彼女を何処まで導くのか いつ終わるとも知れない房事(ボウジ)に 果てしなく酔いしれる。 彼女に触れる掌は驚く程優しく 反対に 彼女を引き寄せる強さは逞しく 繋がるソコから拡がる波の曲線を 深く 大きく 互いの身体に彫りつけた。
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