第2章 草食なオレ

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ダルい身体が機能するようになってきたのは 昼過ぎ。 「新城さん、受付から1番です」 岡田さんが取り次いだ電話がオレに引き渡される。 今日は来客の予定はなかったはずだ、と 思いながら受話器を握った。 マジ、だりぃ 夕べのセックスが 後を引いてひいて、仕方がないくらいに 気持ちよくて 仕事にまで持ち込まないのがオレの基本なんだが 今日は本格的にヤル気もノル気もない。 そこで、受話器を握ったままだった事に気付き やっとソレを耳にあてた。 「はい新城です」 「お疲れ様です、新城さん 今、お客様がおみえで、アポはされてらっしゃらないそうなんですが…… お名前ちょうだいしています、えーっと」 「……そうですか わかりました、待ってもらえるように伝えて下さい 10分でいきます」 ふーん やっぱり、来たか。 まぁ、当然だわな オレは締め切りの近いデザインを掴み席を立つ。 「あ、岡田さん、突発で来客入ったんで 第3、使います」 岡田さんにひと声かけて 彼女が頷いたのを見届けてから部屋を出た。 まず、向かった先は言わずとしれた蝶々の部屋。 一つ下のフロアに製図室と歌われる建築士の個室。 4つ並んだ一番奥のドアの前でノックする。 「はい」 夕べとは全く違う声での返事をどこか不思議に思いながら クスリ、と笑いを一つ溢して部屋に入った。 「お疲れ様です、遠野さん 今、時間大丈夫ですか?」 「お疲れ様です、新城さん」 遠野さんはそう言って頷いた。
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