554人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
雨宮さんがオレを【!極密!】の会に誘った理由が
目の前に座る人を見て、あらかた理解できた。
「新城くん、こちら木本さん」
雨宮さんはイタズラにクスリ、と笑う。
「初めまして、新城と申します」
「初めまして、木本です。
お呼び立てして、ごめんなさいね」
木本さんは落ち着いた雰囲気を纏う女性だった。
「ご活躍は常々、拝見しています。
お会いできて光栄です」
KIMOTOデザイン事務所代表の彼女は
今年の木質部のデザインコンテストで最優秀と他一部門に入賞を果たした、この世界では‘話題のヒト’。
「木本さんはね、大学の先輩なの」
「今日は後輩の彼女にお願いして、是非、新城さんにお会いしたい、って
無理言ったのよ」
二人は示し合わせたように頷いた。
……回りくどいのは
遠野さんと絡む時だけでいいんだよ。
「はぁ、そうですか」
裏腹に頼りなく相槌を返す。
そんなオレを見て何故か意味深に笑みを浮かべる
木本さんは、その唇をまた、開いた。
最初のコメントを投稿しよう!