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エレベーターの正面
受付エントランスのソファにその姿を見つけて
オレは姿勢を正した。
「お待たせ致しました……木本さん」
フワリ、と微笑みながら近寄ると
ビクリ、と肩を揺らしオレを振り返る。
バッ、と立ち上がって
頭を下げたまま、なかなかな上がってこない木本さん。
「木本さん、顔、あげてください」
「ごめんなさいっ、新城さんっ」
……マジで、めんどくせー事、極まりない。
「木本さん、部屋取ってありますから
ゆきましょうか」
変わらずにフワリと微笑みながら
オレは木本さんを促した。
受付エントランスから一つ上のフロアは
来客用のミーティングルームが連なる。
と、いっても、10部屋くらいしかないが。
第3ルームの扉を開けて木本さんを招き入れた。
「体調はいかがですか?」
オレは、どうぞ、と掌を差し出して
椅子にかけてもらうように示す。
「ほんっとーに、ほんっとーに、ごめんなさいっ」
またガバッと頭を下げたメンドーな女。
もーいーつってんだよ。
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