第2章 草食なオレ

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「木本さん、顔をあげてください 僕は何も気にしていませんから」 気にもしねーから帰ってくれ。 顔をあげた木本さんは 心なしか瞳を潤ませて 鞄をゴソゴソと探ると封筒を取り出す。 「ほんとに……何て御詫びしたらいいのかっ これ、諸々の代金です! 夕べはこっちがお誘いしたのにあんな、あんな事になっちゃて、私、申し訳なくって……」 よえーのに無理して飲んでんじゃねーょ。 「いえ、お気になさらず」 「そんな訳にはいきませんっ」 「木本さん、かえってお気遣いさせてしまって申し訳ありませんでした。 ですが、あの場合の最善策だったと思っています。 本当に気にしていませんので、収めてください」 突き付けられた封筒を やんわりと押し返す。 「それから昨日のお話なんですが…… 僕には荷が重いような気がします。 それに、この会社でまだまだしなければならない事が山積みで…… お誘い頂いた事は大変有難いのですが ここを辞める気はありません。 とても優越した気分になれました、有り難うございます」 オレはそう言って木本さんに微笑んだ。
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