第2章 草食なオレ

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あんなに神妙な顔つきで押し掛けてきた 厄介な得たいの知れない女、木本さんは これからオレをオトスのが楽しみだ、と言いながら ちゃっかりここに来た目的を果たしていた。 無理やりポケットに突っ込まれた封筒と 彼女の名刺。 裏にはプライベートナンバーが 流れるような字で記してあった。 ふーん なんか、厄介な事になってきたなぁ。 受付で木本さんを見送ると 後ろから声をかけてきたのは神田課長。 「おい、新城、アレ、木本デザインの女社長じゃん」 「ああ、神田課長、お疲れ様ですー」 気の抜けた声に ズルリ、と見事にオチを見せてくれる課長。 「新城、お前といると、たまーにやる気を根刮がれるわ」 「あはは、スイマセン」 「いや、それより、なんで」 課長は玄関とオレを交互に指差しながら 今し方別れたばかりの木本さんを気にしていた。 「たまたま知り合う機会があって、わざわざ寄ってくださったんですよ お茶も出すの、忘れてました。アハハハハ」 「へー、あの木本社長がねー」 顎を撫でながら課長は呟く。 「気ィつけろよ?新城」 「は?」
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