第2章 草食なオレ

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「あの女、結構厄介」 ……知ってる。 「しかも最近売れてるから激しく厄介かもな」 「はぁ、そうなんですか」 もうじゅーぶん体験してるよ。 そんなオレをチラリ見た神田課長。 「なぁ、新城」 「はい」 「お前、チェリー?」 「は?」 どんだけ昔の言い回しだよ、おい。 「女、知ってる?」 「は?」 神田課長はポリポリと口元を指で掻きながら 「この姿形でまさか、な」 オレの足元から天辺迄を順に見て 今度は自嘲気味に笑った。 木本さん、か。 出来れば、拘わりたくねぇな。 訳の分かんない女と厄介事はほぼ 一緒に着いてくるんだな。 人生の回りものか。 「おい、行くぞ新城」 「あ、はい」 エレベーターの扉を開けてくれている神田課長に 頭を下げて、そこに乗り込んだ。 「お前、まさか」 「はい?」 「アッチのパターンか?」 「は?」 アッチって、どっちだよ。 男に興味なんてねーよ。 じとっ、と細い目でオレを確認する神田課長が 何故か壺にハマり、危うく笑い死にしそうになった。
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