第2章 草食なオレ

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「……なんでもねぇよ」 口をついた瞬間に さらにハッ、として だけど それどころじゃない出来事に 持っていたペーパーをグシャリと握り締めた。 「す、すいま、せ」 「岡田さん」 「は、はひ、っ」 この際口を滑らせた事はスルーして その事実さえも無かった事にする。 「これ、中身見ました?」 「い、いえ」 オレが何時になく厳しい表情でいるので 岡田さんも多少驚いて、たじろいでいるようだった。 「枚数、確認した程度です……あの、なにか?」 「いや、イイ」 とにかく。 探さないと。 これを話せる相手を。 三木部長。 神田課長。 雨宮さん。 …………。 この室内でしか知られていない事を ついこの間、内密のミーティングで決定された事項が こうもハッキリと抜き取られて 他所で曝されている。 この事実をどう受け止めればよいか。 誰が、漏らしたんだ。 木本……あの女、何が言いたいんだ。 オレは 多少の苛立ちと怠さを纏いながら 自分の握り締めたペーパーに静かに視線を落とした。 次に元に戻したソレの中に 愛しい愛しい蝶々が ポツリと ソコにハマった。
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