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フィ、と逸らされた結び付きに
妙な違和感を覚えた。
チューブを抱えて
荷物を纏め、三木部長の元へと向かう遠野さん。
外出するのか。
……あ、‘凄いじゃない!遠野さんっ!’の真相
聞き逃したか……
また、握り締めたペーパーに
今度は悵恨(チョウコン)の念を籠める。
いや、そんな場合じゃない。
さて、どーすっか。
オレは席につき、一旦心を鎮める為に
目を閉じた。
普通に考えて
雨宮さんが疑わしいが
彼女の先輩であると、木本さんを紹介されて
こんな早い時点で、うまい具合にリーク情報を開けっ広げにするだろうか。
細部に渡るまで、ベイエリアの商業区で
オレ達がしようとしている事を
そっくりそのまま模してやがる。
しかも、これ。
遠野さんの斬新なアイデアも丸々そのまま。
不愉快極まりないペーパーを最後まで捲って気付いた。
‘斬り込んだデザインでしょ?うちのホープよ’
ホープ、ねぇ。
ホープか。
あー、また面倒な事に巻き込まれたもんだ。
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