第2章 草食なオレ

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厄介な事に コッチはまだ発表もなにもしていない段階で でも、アッチはちょうど今日が解禁日とされている。 誰かの耳に入って あっという間に広がるな、こりゃ。 ……待った。 逆、って場合もあるな。 考えて、少し間を開けて また、目を瞑る。 いや、ないな。 みんなで集めた案を煮詰めてこうなったんだ。 アッチのをパクった訳が、ナイ。 じゃあ、誰。 誰が、何の為に? ゆっくりと目を開けると目の前のデスクで 雨宮さんと、岡田さんが並んで オレを見ていた。 「……どうかしましたか?」 雨宮さんはニヤニヤとしながら 岡田さんは照れたように お前らに構ってる場合じゃねーんだよ。 「いやー、新城くん、痺れるな、お姉さん!」 「はい?」 「いいよねー、なに?瞑想してるの?画になるわぁ」 そう言って片目を瞑り、目には見えない何かを飛ばしやがった。 オレは慌ててソレを避ける。 危ねぇし 岡田さんはオレと目が合うと、パッと逸らして わざとらしく書類の整理をする。 「新城くん、どうだったの?」 「は?」 そんな風に遠回しな発言をしてくる雨宮さん。 ‘き、も、と、さ、ん’ そう、唇だけが動いた、はず。
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