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「あぁ、あの後眠ってしまわれたんで
ちゃんと、送り届けましたよ?」
「へー」
「それが何か?」
「家、知ってたんだぁ。あ、新城くんの家?」
下から舐めるように見て
ふふ、と笑いながら目を細める。
「いいえ、完全に酩酊されて、起こしても起きなかったので近くのホテルにお連れしました」
ニコリ、と微笑んだ瞬間
「ワォ!」
キラキラと輝く瞳は、噂の種が撒かれた合図。
スピーカーとして働くにはその種を育てないといけない。
「で、でー、でー!?」
ほら、キタ。
バカな女だな。
「さぁ?
オレは門限があるので帰りましたが……」
岡田さんも手だけは書類を触っているが
耳は完璧にコッチを意識しまくっている。
マジで、笑える。
「帰ったのぉぉぉぉぉぉ!?
なんで、あんた、なんっで帰んのよー」
余りにも近所迷惑な遠吠えに三木部長が釘を刺した。
「雨宮、トークタイムは終了だ」
野太い声は
男の耳にも色っぽく聞こえて
オレは三木部長の横に立つ遠野さんを見た。
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