第8章 オレの素性?

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「もしもし、新城です」 『あぁ、新城くん、お久しぶり』 「なにかご用でしたか」 会社を繋ぐのも面倒だと思い、直接携帯に連絡を入れる。 『ちょっと選手棟の事で相談があるのと…… 後、聞きたい事もあってね』 「ちょうどよかった、こちらもお伺いしたい事があったのでお時間頂けると有り難いです」 沈黙 これは、一体何を意味するのか。 「選手棟の事でしたら守田さんからファックス頂いてますが……、この癒しの場提供とプライベートの確立、ってヤツですか?」 『……そうよ』 「分かりました。いつお伺いしましょうか 事務所にいらっしゃる時は?」 また、沈黙。 『今、‘こうづき’に予約入れたわ 明日20時、どうかしら』 思わず笑いが飛び出した。 こっちの都合は全く無視か? ここで仕事に追われている事なんか考えてないんだろうけど。 しかも、‘こうづき’って。 たかが、末端の平デザイナーとの相談に老舗料亭って 何を考えてんだ。 よく内緒話の中枢に使われるそこは 敷居も格式も驚くらいのハイタワー。 ポンと、予約を入れられる木本さんがそこの常連なんだと いうことが分かる。 「分かりました、では、明日」 多分、断ってもラチがあかないと踏んだオレは 二つ返事で頷いた。
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