第9章 オレの素性②

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「ジョー」 「はい」 「責任もてよ」 「勿論」 専務の瞳はやっぱり獅子のそれ。 「あの子はあんまりイイ男に出会ってないんだ」 「今までは、ですよね?」 「少なくとも、そんな訳の分からないヤツらとは違うだろうとは思ってる……お前の事はな」 「ありがとうございます」 それ以上、専務は遠野さんについて口を開く事はなかった。 専務を尊敬する気持ちは変わらないが 遠野さんの事についてはオレも引き下がるつもりはナイ。 彼女にすべてを伝えるのは 色んな事をクリアにしてからで、いい。 「専務」 「なんだ」 「専務は木本さんとグルじゃないですよね?」 ギロ、と向けられたその目に ただのウサギちゃんのオレは脅えるべきなのか。 「アイツとは仲間になんかならねぇよ、タコ」 「情は無いんですか?」 「ない」 「そうですか」 「早いとこ、片付けちまおうぜ、ジョー」 「そうですね」 肩に乗せられた掌にかかる圧は思いの外強く 握られたソコは明らかに攻撃と取れるくらいの負荷がかかる。 「ぬかるなよ」 専務はまたオレと肩を組んで歩きだした。 「ぬかりませんけど…… もう、キスはしないでください、マジキモい」 「つれなぁい!新城ちゃん!」 途端にデレデレとしなだれかかる、おっさんに変化する。 ……この人をどこまで信用していいんだろうか。 そう過ったのは、言うまでもない。
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