第9章 オレの素性②

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「遠野さん」 「……ん」 「大丈夫?」 ぐったりと身体を投げ出した遠野さんを大事に包みながら尋ねて、汗で張り付いた額の髪を掬い、そこに唇を寄せる。 事を終えて、甘えてくるようになった彼女は ハッキリ言ってベラボウに可愛い。 いや、あんまり可愛いと オレも一応まだまだイケる口だからさ ヤバイんだけど ……分かってんのかな。 「新城さん……」 「ん?」 「アツい」 「うん、熱いよね」 もう12月なんだけどね。 「燃えすぎた?」 肯定するように、スリスリと擦り寄って 胸の中心辺りに紅く色づいた柔らかな唇を押し付け チュウ、っと吸い付いてくるのは オレを煽っているとしか、思えない。 「まだ足りない?」 そのセリフにハッとしたように顔を上げる遠野さん。 間接照明がひとつだけ灯った部屋の中で 彼女の瞳孔が一瞬ブワリと開いて閉じていく様が なんとも野性的で 「あぁ、ごめん」 揺れる瞳を追いかけながら 「足りないのは、オレの方だ」 見つめたまま、口付けた。 一晩に何度も……なんてガッツイタ性欲の塊、みたいな事はしたくないけど 致し方ない場合もあるんだよな。 「まだイケる?」 唇を押さえ込みながら身体のラインを撫でて 「……止まンね」 夢の続きが始まる。 「……っんじょぉ、さんっ」 今度はこのヒラヒラを脱がせてもっと密着しようか お姫様。
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