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とにかく忙しいんだ。
小川のバカ親子に付き合ってロスした時間は思いの外大きくて、取り返すのに定時を過ぎる羽目に。
バカバカしい。
そこへ来て
「ジョーぉー」
入り口にしなだれかかったオ◯マを見て
ガックリきた。
「ちょっとー、野暮用」
人差し指をクイクイと曲げてオレを呼ぶ。
「用件があるならここで」
「あらぁー、いいのかしら?」
「……あぁ」
なるほど。
株式トリックが判明したのか。
含み笑いを続ける専務に
オレは片手を上げた。
「いきます」
まだ、疎らに人の残るオフィスを出て専務に続くと
いきなり切り出される真相。
「あいつらみんなグルだな」
「はい?」
「株式買い占めだ」
「乗っ取りか……やっぱりな」
役員室へ行くのかと思いきや
地下の駐車場へ降りるらしく
エレベーターに乗り込んだ専務の触れた地階を示すボタンに灯りが点いた。
「もう、ずっと前から仕組まれてたんだな」
「……」
「長い月日をかけて、どこにもバレないように」
専務の声は抑揚もなければ、温かみもない。
「ただ、そんな事をしてまでどうしてウチに手を出すか、だ」
そしてチラリとオレを振り返った専務の口角がユルリと上がる。
「ジョー、お前、もう知ってんだろ?」
シュー、と何かが擦れるおとをあげながら
エレベーターが止まり、ゆっくりとその扉を開けた。
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