第9章 オレの素性②

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アウトローの総元として君臨するオレの家は、表構えは株式会社を設立して、立派に経済と流通に惜しむことなく勤しんでいる。 一族は室町時代から続く商人の家。 商人と一口に言ってもただの商売ではなかった事が、今のウチの裏の生業が証明している。 将軍が天下を統一するために必ず商人との密な繋がりがあったように 商人は表の流通だけではなく 闇の流通さえも支配しなくてはならなかった。 それは、現代でも同じく 法の届かないところでの商売は沢山あり 今では日本のそれらを取り仕切るくらいの 力を持った‘商人’として暗躍するのが オレの祖父と2人の伯父。 アンダーグラウンドで繋がる公私。 ま、その仕組みは詳しくは知らないが 善良な一般市民は立ち入らないにこしたことはナイ。 そんなウチだから 政治家さえも事情を知っていればウチには手を出してこない。 だけどオレと母はその家督からは外れている。 だから滅多な事では、例えば興信所の類なんかで調べても 絶対繋がらない筈なんだが…… あぁ、そうか。 小川先生がいたか。 「小川先生も一応は政界の古株だったな」 私腹を肥やしてる1人だった、と思った。 これで木本さんと小川が繋がってるのは間違いないな。
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