第9章 オレの素性②

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「小川先生のとこは真っ黒だね」 八雲も綺麗な事ばかりをしている訳じゃない。 やっぱり多少の言えないような事をしているのは どこだっておんなじだろう。 ただそれが罪に問われるかと言えば、問われないだけの事だ。 小川の次男はあっちにこっちに ブラックマークなるものを残している。 八雲の乗っ取りを手引きしたのは小川かもしれない。 まぁ、木本さんがどれだけの策略家かは分からないが とにかく、どんな構想を練っていて これからどんな事が起こるのか、不明。 いや、起こさないか。 もう敵う相手じゃないと分かっただろうし…… もっと簡単にヤれると思ったんだろうな。 株式さえ手に入ればいいと思ったのか。 まぁ、普通はそうだ。 「株式会社だからね」 木本さん側の持ち株合計は、社長である八雲と社長派の保有株数を少しだけ上回る。 株式会社では保有する株に各々一つずつの議決権がある。 徒党を組んでの議決は社長の負け。 だから社長辞任に追い込まれる事もあれば 色んな何かを覆されたりもする。 ま、その辺は、なにも心配はない。 現にうまくいかなかったんだから。 「どう出てくっかなぁ、木本さん 大人しくなってくれればいいけど」 フ、と笑って顔をあげると寝室のドアがそっと開いた。
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