第9章 オレの素性②

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ただちょっと、話をするだけの予定だったのに 何よ、このザマは。 「遠野さん、っ」 細い腰を掴んでユサユサと振り 下からバカほど突き上げて キュウキュウと痺れるナカと ガクガクと脱力を繰り返す彼女に囁く 「っ、偉そうにシたけど、ちょっと、ムリ……」 途端に強い力でオレを包む遠野さんは 途切れる吐息の中で返してきた。 耳に入り込んだその音は オレを煽り、一気に昂りへと導いていく。 「んっ、す、好きっ 新城、さんっ」 膨らんで 塊がオレの中で暴れながら駆け上がり その瞬間に、更に押し込み奥の奥を突き 仰け反り、逃げる腰を引き寄せた。 やべぇ マジ気持ちィ…… 二人の息は荒く カノンのように暫く響く。 音と汗にまみれた身体をくっ付け 彼女の胸に顔を埋めて谷間に流れる滴を舐め取った。 速い鼓動 半開きの唇 痺れて動けない身体 「遠野さん、まだ、元気?」 そう言って壁に掛かった後ろの時計を見た。 針は思いの外進んでいなくて ちょうど1時を回ったところ。 「……どう、したんですか」 「オレの話をしたかったんだけど…… 今度にしようか」 額に張り付いた髪を撫で、掬い 彼女を抱えたまま立ち上がった。 「きゃっ」 「あし、ちゃんと絡ませて?」 裸のオレ達が辿り着いたのは風呂場。 「何回もシテ、ごめん」 シャワーを出して適温を身体に掛けながら悪戯に囁いた。 はにかんで笑う遠野さん。 「そんな新城さんも、大好き……」 「そ?じゃあ、遠慮なく……」 穏やかに笑いながら 更けていく夜ほど居心地イイもんはないな。 確かに感じる温もりにますます堕ちていく自分を 心地イイと、思った。
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