第9章 オレの素性②

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「ま、昔話は省くとして」 「残念」 「彼女が接触してきた理由は会社の内情を聞き出す為、だったんだろうな」 「へぇ」 少しの笑いを含みながら応えると 専務の顔が悔しそうに歪む。 「今思えばやけに根掘り葉掘り聞かれたような気がすんだよな」 「へー」 オレの相槌は気に入らないらしい専務、 イチイチ、ギロギロとよこしてくる視線に 本格的に嫌悪が混ざりだした。 「アイツもデザイン目指してる、って言ってたから 別に気にしなかったけどな」 「そうですか」 「ジョー、お前を嵌めようとしたのは会社に関係あんだろ」 「多分……」 「多分て、今さら何、出し惜しみ?」 バシ、と肩に置かれた掌がみるみるうちに オレに侵食を始めた。
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