第9章 オレの素性②

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「明日、木本さんに誘われました」 「へぇ」 さっきとは立場が逆になったようだ。 気の無い返事、だけど面白そうにからかう。 「なんだとうとう乗っ取られんのか」 「まさか」 専務は首を傾げる。 オレはそれにさらに首を傾げた。 「乗っ取れないから、文句言うんじゃないですか?」 「そうか」 「だと、思いますよ?」 「まぁ、とことんヤッてくれ」 「いいんですか、元カノ しかも下準備期間長いんですよね」 「株主総会いつだったか」 いきなり飛ぶんだな。 「来年6月26日です、約半年後」 「焦ってきたな、アイツも」 「どうですかね、まぁ、総会でも全く問題は無いですが…」 チラリとオレを見た専務は 「相手が悪かったんだろう」 「と、思ってもらいましょうか」 また、唇を緩めた。
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