第11章

11/35
前へ
/35ページ
次へ
中途半端に焦らしたままにしておいた。 途中までは順調にまさぐり、這い そして所々で 直に触れて 尖りの周辺を撫でたり 括れたところを掴んだり とにかく中心の蕾も 濡れて甘く香る誘いにもノータッチで オレは風呂場で心を沈める滝行もどきに 身を引き締めていた。 オレは意気地無しなんだ。 まだ、見えていない部分を見る事が怖くて まだ、知られていないソコに入り込めなくて 動けずにいる。 ほぼ水に近い、体温程度のシャワーじゃ 修行とは言い難いか。 己のヤル気の低さに自嘲しながら それでも頭からそれをかぶり続けた。 遠野さん 可愛らしい女の子。 最近、一緒にいる時間が長くなったからか 彼女の細かいところまで目につくようになった。 さっきみたいに‘不満です!’をあからさまにした態度 あぁ、何が‘強いて言えば’なのかを 聞いてやらないと ますますご機嫌が悪くなりそうで ククク、と喉で笑い ちょっとした不安を押し込めた。 ね、遠野さん 狡い男でもいいだろうか。 ソファでウトウトとするキミを見つけて 斜めにズレタ眼鏡に和む。 相変わらずヒラヒラの部屋着に身を包み いつだってオレを挑発し続ける。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

356人が本棚に入れています
本棚に追加